中小事業者に対する固定資産税の負担軽減に関する質問主意書

衆議院ホームページ 質問主意書より


提出者  緑川貴士

中小事業者に対する固定資産税の負担軽減に関する質問主意書

 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の一つ、地方税の税制措置で、中小事業者の事務所などにかかる固定資産税について、令和二年二月から十月までの連続した三か月間の売上高が減り、前の年の同じ時期に比べ売上高が三割から五割未満減った場合には固定資産税の半額を免除、また、連続した三か月間の売上高が前の年の同じ時期に比べ五割以上減少した場合は全額を免除することとしている。

一 法人税と異なり、赤字の事業者も納税の必要がある分、多くの中小事業者にとって負担軽減の効果はあると考えるが、たとえば、売上高の減少が三割未満にとどまるような中小事業者の場合、一年間の納税猶予は認められるが、納税は減免されない。令和三年度以降に、令和二年度分の税額と合わせて、固定資産税を納税することになり負担が重く感じられる。負担軽減をどのように図っていく方針であるか伺う。

二 固定資産税については、賦課課税方式により、税額を市町村が計算し、納税者に納税通知書を送付するが、固定資産税の評価のミスが相次いでいる。

 こうした事態を受け、政府は数年前に固定資産税の評価ミスに関する実態調査をしているが、税額修正した納税義務者数が一人以上あった市町村が調査回答団体のうち九割を超える年が続いている状況は変わっていないが、現状について見解と対策について伺う。

三 正確な課税事務が行政への信頼の基盤であるが、評価ミスを見落としていた場合、何年にも亘って支払う必要のない税金を支払い続けてしまうことになりかねない。住民が固定資産税額の計算方法の正しさを確認する手段として、縦覧制度があり、納税者が所有する土地や家屋の価格と他の土地や家屋との価格を比較することで、自分の資産が適正に評価されているか否かを確認することができるが、縦覧期間は自治体によって異なり、また、納税者のプライバシーに関わる事項を本人以外に開示するという側面もあることから、縦覧の資格を有するかについて慎重な確認も求められる。固定資産税の評価ミスを防止するために政府として縦覧制度の活用方針について伺う。


質問に対する答弁書

一について

 中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税に関し、地方税法等の一部を改正する法律(令和二年法律第二十六号。以下「改正法」という。)第一条の規定による改正後の地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則第五十九条第一項に規定する徴収猶予の特例の対象となったものについても、地方税法第十五条第一項に規定する徴収猶予の対象となり得るものであり、また、令和三年度課税分について、改正法第二条の規定による改正後の地方税法附則第六十三条第一項に規定する中小事業者等に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置の対象とならない場合にも、地方税法第十五条第一項に規定する徴収猶予の対象となり得るものであるため、各地方団体において適切に対応するよう要請している。

二について

 お尋ねの「税額修正」に係る「見解と対策」について、固定資産税に係る市町村の事務上の問題に起因する課税誤りは、納税者の固定資産税制度に対する不信を招きかねないことから、その実態把握に努め、防止策に係る具体的事例等を取りまとめ、通知を発出するなどの対策を講じており、引き続き、課税誤りの防止に向けた取組を進めてまいりたい。

三について

 お尋ねの「縦覧制度の活用方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方税法第四百十六条第一項は「固定資産税の納税者が、その納付すべき当該年度の固定資産税に係る土地又は家屋について土地課税台帳等又は家屋課税台帳等に登録された価格と当該土地又は家屋が所在する市町村内の他の土地又は家屋の価格とを比較することができるよう」と縦覧制度の趣旨を規定しており、また、「固定資産税の情報開示に関する留意事項等について(通知)」(平成十四年九月十八日付け総税固第六十号総務省自治税務局固定資産税課長通知)においても「評価額の比較という目的以外の目的に縦覧制度が濫用されないようにすべき」と示しているところであり、縦覧制度が評価額の比較という目的のために適正に活用されることが重要と認識している。

à suivre

今を考えるため情報源を文字として残したい。 そしてまた後日、それを読み返してみたい。 自分自身で考えることをやめないように。