国家公務員の倫理の保持に関する質問主意書

衆議院ホームページ 質問主意書より


提出者  浅野 哲

国家公務員の倫理の保持に関する質問主意書

 国家公務員倫理法(以下、「倫理法」)は、中央省庁幹部職員の不祥事の続発を背景にして一九九九年八月に議員立法で成立し、倫理法の規定に基づき国家公務員倫理規程(以下、「倫理規程」)が制定された。倫理法は公務員の行動規範に関する倫理原則を定め、具体的に規制される行為は政令である倫理規程の中で定められている。

 倫理法および倫理規程において、次に示す各項の基準を明確化するために以下質問する。

一 倫理法第一条には「職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為」とあるが、国家公務員が職務として行った行為であって、当該行為に対し国民が当該行為の公正さに対する疑惑や不信感をもつに至った場合には、当該行為は「職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為」とみなすことができるのか政府の見解を伺う。

二 倫理法第三条には国民に対する不当な差別的取扱いの例示として「職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする」とあるが、「有利な取扱い」とは具体的にどの様な行為があたるのか政府の見解を伺う。

三 倫理規程第二条には利害関係者として定める者の中に「当該許認可等の申請をしようとしていることが明らかである事業者等又は特定個人」および「当該補助金等の交付の申請をしようとしていることが明らかである事業者等又は特定個人」とあるが、「明らかである」と判断する基準について政府の見解を伺う。

四 倫理規程第三条第一項で定める「遊技」の定義について政府の見解を問う。

五 倫理規程第三条第一項で定める「公務のための旅行」は国外への出張に該当するのか政府の見解を問う。

六 「公務のための旅行」の途中において、利害関係者とともに遊技することは禁止行為に該当するのか政府の見解を問う。

七 倫理規程第三条第二項で定める「多数の者が出席する立食パーティー」について「多数の者」の定義について政府の見解を問う。

八 倫理規程第八条で定める「利害関係者と共に飲食をする場合の届出」について自己の飲食に要する費用が自己負担か公費負担かを問わずに、届出の対象となるのか政府の見解を問う。 

九 国家公務員本人が計画段階より関わった会合(パーティー等)であって、且つ一部の国民のみが認知可能な会合であって、尚且つ利害関係者が当該会合に参加し、当該国家公務員との間で当該国家公務員の業務範囲に係る内容を含む会話や飲食を伴う相互交流が図られた場合、それらの行為は「職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為」に該当し得るか政府の見解を伺う。


答弁書

一及び九について

 お尋ねについては、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

二について

 どのような行為が国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)第三条第一項に規定する「有利な取扱い」に該当するかについては、同法第二条第一項に規定する「職員」(以下単に「職員」という。)が行った行為の内容や状況等を総合的に考慮して実質的に判断する必要があるものと考えており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

三について

 一般に、国家公務員倫理規程(平成十二年政令第百一号。以下「倫理規程」という。)第二条第一項第一号に規定する「明らかである」については、同号に掲げる事務に携わる職員が、また、同項第二号に規定する「明らかである」については、同号に掲げる事務に携わる職員が、それぞれ通常の判断力をもってすれば認識することが可能な状態を指すものと解している。

四について

 倫理規程第三条第一項第七号に規定する「遊技」については、一般に、麻雀やポーカー等がこれに該当するものと解している。

五について

 倫理規程第三条第一項第八号に規定する「公務のための旅行」については、一般に、外国への出張も含まれるものと解している。

六について

 職員が、倫理規程第二条第一項に規定する「利害関係者」とともに、四についてで述べた「遊技」をすることについては、これが倫理規程第三条第一項第八号に規定する「公務のための旅行」の途中で行われたか否かにかかわらず、同項第七号の規定に基づく禁止行為としているところである。

七について

 倫理規程第三条第二項第二号及び第六号に規定する「多数の者」については、一般に、二十人程度以上の者がこれに該当するものと解している。

八について

 御指摘の「自己の飲食に要する費用が自己負担か公費負担かを問わずに」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、倫理規程第八条の規定に基づく届出については、同条において、「職員は、自己の飲食に要する費用について利害関係者の負担によらないで利害関係者と共に飲食をする場合において、自己の飲食に要する費用が一万円を超えるとき」は、「多数の者が出席する立食パーティーにおいて、利害関係者と共に飲食をするとき」や「私的な関係がある利害関係者と共に飲食をする場合であって、自己の飲食に要する費用について自己又は自己と私的な関係がある者であって利害関係者に該当しないものが負担するとき」を除き、「あらかじめ、倫理監督官が定める事項を倫理監督官に届け出なければならない」等と規定しているところである。

à suivre

今を考えるため情報源を文字として残したい。 そしてまた後日、それを読み返してみたい。 自分自身で考えることをやめないように。