近年の台風被害等を踏まえた港湾の防災・減災対策

国土交通省ホームページより


 近年、高潮・高波・暴風などの台風被害等が頻発化・激甚化している状況です。昨年の台風では、東京湾を中心に、想定以上の高波による護岸の損壊や暴風等による船舶の橋梁への衝突等が発生しました。また、昨年9月に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が特別報告書を公表し、将来の海面水位の上昇など災害リスクの増加への懸念が示されたところです。

 このため、国土交通省港湾局では、想定を超える高波・高潮・暴風が来襲した場合でも被害を軽減させるため、令和元年10月に「港湾等に来襲する想定を超えた高潮・高波・暴風対策検討委員会」を設置し、「自助」「共助」「公助」一体となった総合的な防災・減災対策に係るソフト・ハード面の検討を進め、その結果を、今般、最終とりまとめとして公表することといたしました。

 今後は、本とりまとめに基づき、高波・高潮対策としての施設嵩上げや、台風接近前の直前予防対策など必要な施策を講じ、港湾における高潮・高波・暴風リスクの低減や、基幹的海上交通ネットワーク機能の維持に資することで、国民の安全・安心で豊かな暮らしの実現に貢献してまいります。

  なお、最終とりまとめの施策の1つとして、各港での港湾BCP策定の参考資料となる「港湾の事業継続計画(港湾BCP)策定ガイドライン」(改訂版)を策定いたしましたので、あわせて公表いたします。


令和元年房総半島台風では、横浜港を中心に、想定以上の高波による護岸の損壊や浸水、暴風により走錨した船舶の橋梁への衝突が発生するなど、近年、高潮・高波・暴風による港湾への被害が頻発。

従来の想定を超えた自然災害が多発する中、想定を超える高波・高潮・暴風が来襲した場合でも被害を軽減させるため、港湾局において以下の体制で、「自助」「共助」「公助」が一体となった総合的な防災・減災対策について検討。


近年の高潮・高波・暴風災害や気候変動に関する基本認識

平成30年台風第21号、令和元年房総半島台風及び令和元年東日本台風では、記録的な高潮・高波・暴風により港湾及びその背後地に甚大な被害が発生。

• 特に、令和元年房総半島台風及び令和元年東日本台風では護岸・桟橋等の損壊及び浸水の主要因は高波であったものと推測。また暴風により船舶の走錨やコンテナの飛散等も発生。

⇒ 地震・津波・高潮に加え高波や暴風も考慮する必要。

• 気候変動については不確定要素が存在するものの、昨年9月に公表されたIPCCによる特別報告書において、長期的な海面水位の上昇や高潮災害について言及。

⇒ 今後整備するインフラの供用期間中に影響が生じる可能性があることから早急に方針を定めることが必要。


近年の災害を踏まえた課題と取組の方向性

国民の安全・安心で豊かな暮らしを支える基幹的海上交通ネットワーク機能を維持し、経済活動を支えるサプライチェーンへの影響を最低限に抑制するため、以下に掲げる課題に対し、ソフト・ハード一体となった総合的な防災・減災対策を講じる。

課題1:広範囲への浸水

• 設計に用いる波浪を最新の知見で更新し、主要な施設に対する耐波性能を照査や重要かつ緊急性の高い施設や地盤の嵩上げ・補強を実施。また、多重防護が有効であることから、臨港道路等の嵩上げや港湾計画等への地盤高さの表記を検討。

課題2:船舶衝突による橋梁等の破損

• 被害軽減のための防衝設備の設置や関連する基準等の整備。また、避難水域の確保。

課題3:暴風等によるコンテナ等の飛散

• コンテナ固縛等の暴風対策の優良事例集の周知や港湾労働者等の避難場所の確保。

課題4:万全の事前対策や迅速な復旧を可能とする関係者との情報共有等

• 港湾法に定める港湾広域防災協議会等の活用、現地カメラ等での情報を共有する枠組みの構築、脆弱箇所を把握した上での直前対策や復旧時の海上アクセスルートを考慮した港湾BCP(港湾の事業継続計画)等の策定。

課題5:複合災害や巨大災害への対応等

• 複合災害シナリオを考慮した訓練の実施や瓦礫の仮置き場等を考慮した港湾BCP(港湾の事業継続計画)の策定。


à suivre

今を考えるため情報源を文字として残したい。 そしてまた後日、それを読み返してみたい。 自分自身で考えることをやめないように。