顕著な災害を起こした自然現象の名称について

気象庁ホームページより


顕著な災害を起こした自然現象の名称

 気象庁では、顕著な災害を起こした自然現象について名称を定めることとしています。名称を定めることにより、防災関係機関等による災害発生後の応急・復旧活動の円滑化を図るとともに、当該災害における経験や貴重な教訓を後世に伝承することを期待するものです。

 また、各地域で独自に定められた災害やそれをもたらした自然現象の名称についても、後世への伝承の観点から利用し普及を図ることとしています。


名称を定める基準及び付け方

(1) 気象(台風を除く)

ア 名称を定める基準

 顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合

イ 名称の付け方

 原則として、「元号年+月+顕著な被害が起きた地域名+現象名」とします。

 ここで「現象名」とは、豪雨、豪雪、暴風、高潮等をいいます。

 なお、地域名については、被害の広がり等に応じてその都度判断します。また、豪雪については、被害が長期間にわたることが多いため、冬期間全体を通した名称とします。

(2) 台風

ア 名称を定める基準

 顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合

イ 名称の付け方

 原則として、「元号年+顕著な被害が起きた地域・河川名+台風」とします。

 ここで「顕著な被害が起きた地域・河川名」とは、後世への伝承の観点に着目して最も適した都道府県名、市町村名、地域名、河川名等をいいます。

(3)地震

ア 名称を定める基準

 (ア)地震の規模が大きい場合

   陸域: M7.0以上(深さ100 km以浅)かつ最大震度5強以上

   海域: M7.5以上(深さ100 km以浅)であり、かつ最大震度5強以上または津波の高さ2 m以上

 (イ)顕著な被害が発生した場合(全壊家屋100棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)

 (ウ)群発地震で被害が大きかった場合等

イ 名称の付け方

 原則として、「元号年+地震情報に用いる地域名+地震」とします。

 なお、定めた名称は、一連の地震活動全体を指します。また、アの基準を満たす地震が複数発生した場合には、原則として一連の地震活動が始まった時点の元号年を用います。

(4)火山

ア 名称を定める基準

 顕著な被害が発生した場合(相当の人的被害など)、または長期間にわたる避難生活等の影響があった場合

イ 名称の付け方

 原則として、「元号年+火山名+噴火」とします。

(5)共通事項

 名称を定める際に地域独自の名称がある場合には、それを考慮します。

 名称を文書等で使用する際、必要に応じて元号年に続いて括弧書きで西暦年を併記する、又は元号年を西暦年に置き換えることがあります。

名称を定める時期

 名称を定める基準を満たす場合、できるだけ速やかに名称を定めます。

 ただし、台風の名称は翌年の5月までに定めることを原則とし、災害発生後の応急活動の段階では台風番号を用います。火山噴火など対象となる自然現象やその影響が長期間継続する場合には、顕著な災害・現象等の推移に応じて後日、名称を定めます。

地域独自の名称の普及

 地域毎に、地方公共団体等が顕著な災害やそれをもたらした自然現象について独自の名称を通称として用いることがあります(例:7.13新潟豪雨、紀伊半島大水害等)。

 地方公共団体等がこれら地域独自の名称を定めるにあたっては気象庁は可能な限り協力するとともに、関連する資料等を作成する際には当該地域における後世への伝承の観点から当該名称を利用し、普及を図ります。

参考

 自然現象の名称とは別に、政府が災害の呼称を定めることがあります(例:阪神・淡路大震災、東日本大震災)。

 気象庁が海外向けの資料等を作成する際には、台風番号に代わって台風委員会で定めた名前を使用します。


気象庁が名称を定めた気象・地震・火山現象一覧(平成以降)

気象現象

# 名称 期間・現象等 「地域独自の名称等」、主な被害

01~16(昭和期省略)

17  平成5年8月豪雨 平成5年7月31日~8月7日 「8・6水害」、「鹿児島水害」。鹿児島市(鹿児島県)の土砂災害・洪水害等。

18  平成16年7月新潟・福島豪雨 平成16年7月12日~13日 「7.13新潟豪雨」。

19  平成16年7月福井豪雨 平成16年7月17日~18日 福井県の浸水害・土砂災害等。

20  平成18年豪雪 平成18年の冬に発生した大雪 屋根の雪下ろし等除雪中の事故や落雪による人的被害等。

21  平成18年7月豪雨 平成18年7月15日~24日 「平成18年7月鹿児島県北部豪雨」。諏訪湖(長野県)周辺の土砂災害・浸水害、天竜川(長野県)の氾濫等。

22 平成20年8月末豪雨 平成20年8月26日~31日 名古屋市・岡崎市(愛知県)の浸水害等。

23  平成21年7月中国・九州北部豪雨 平成21年7月19日~26日 「平成21年7月21日豪雨」、「山口豪雨災害」。

24 平成23年7月新潟・福島豪雨 平成23年7月27日~30日 五十嵐川・阿賀野川(新潟県)の氾濫等。

25  平成24年7月九州北部豪雨 平成24年7月11日~14日 「熊本広域大水害」、「7.12竹田市豪雨災害」。八女市(福岡県)・竹田市(大分県)の土砂災害・洪水害、矢部川(福岡県)の氾濫等。

26  平成26年8月豪雨 平成26年7月30日~8月26日 「広島豪雨災害」、「8.20土砂災害」、「2014年8月広島大規模土砂災害」、「丹波市豪雨災害」、「2014高知豪雨」。

27  平成27年9月関東・東北豪雨 平成27年9月9日~11日 「鬼怒川水害」。鬼怒川(茨城県)・渋井川(宮城県)の氾濫等

28  平成29年7月九州北部豪雨 平成29年7月5日~6日 朝倉市・東峰村(福岡県)・日田市(大分県)の洪水害・土砂災害等。

29  平成30年7月豪雨 平成30年6月28日~7月8日 「西日本豪雨」。広島県・愛媛県の土砂災害、倉敷市真備町(岡山県)の洪水害など、広域的な被害。

30  令和元年房総半島台風 令和元年9月(台風第15号) 房総半島を中心とした各地で暴風等による被害。台風「ファクサイ」。

31  令和元年東日本台風 令和元年10月(台風第19号) 東日本の広い範囲における記録的な大雨により大河川を含む多数の河川氾濫等による被害。台風「ハギビス」。

地震現象

# 名称 期間・現象等※ 「地域独自の名称等」、主な被害

01~17(昭和期省略)

18  平成5年(1993年)釧路沖地震 平成5年1月15日 震源の深さが100km以深の被害地震。家屋や構造物に被害。

19  平成5年(1993年)北海道南西沖地震 平成5年7月12日 「奥尻島の地震」、「奥尻島の津波」とも。津波と火災で大きな被害。

20  平成6年(1994年)北海道東方沖地震 平成6年10月4日 北方四島に大きな被害。東北地方でも津波により被害。

21 平成6年(1994年)三陸はるか沖地震 平成6年12月28日 家屋等の建造物や道路損壊等の被害。

22 平成7年(1995年)兵庫県南部地震 平成7年1月17日 「阪神・淡路大震災」。兵庫県内に震度7の地域。家屋の倒壊や火災により大きな被害。高速道路や新幹線の高架にも被害。

23  平成12年(2000年)鳥取県西部地震 平成12年10月6日 家屋等の被害や山崩れ、液状化現象が発生。

24  平成13年(2001年)芸予地震 平成13年3月24日 家屋等の被害や液状化現象が発生。

25  平成15年(2003年)十勝沖地震 平成15年9月26日 津波により被害。石油タンクのスロッシングによる火災も発生。

26  平成16年(2004年)新潟県中越地震 平成16年10月23日 「新潟県中越大震災」とも。川口町(現:長岡市)で震度7。規模の大きな山崩れや岩盤崩壊が発生し、道路が寸断。河道閉塞も発生。

27  平成19年(2007年)能登半島地震 平成19年3月25日 家屋等の被害や山崩れが発生。

28  平成19年(2007年)新潟県中越沖地震 平成19年7月16日 家屋等の被害のほか、山崩れにより鉄道が寸断。

29  平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震 平成20年6月14日 家屋等の被害のほか、大規模な山崩れや河道閉塞が発生。

30  平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震 平成23年3月11日 「東日本大震災」。栗原市(宮城県)で震度7。東北地方を中心に津波により大きな被害。長周期地震動や液状化現象により被害も発生。

31  平成28年(2016年)熊本地震 平成28年4月14日 益城町(熊本県)(4月14日、4月16日)、西原村(熊本県)(4月16日)で震度7。家屋等の被害のほか、大規模な山崩れが発生。

32  平成30年北海道胆振東部地震 平成30年9月6日 厚真町(北海道)で震度7。厚真町を中心に多数の山崩れ、道内で大規模停電。

※ 地震については、一連の地震活動が始まった日を記載

火山現象

# 名称 期間・現象等※ 「地域独自の名称等」、主な被害

1 1977年有珠山噴火 昭和52年8月7日 プリニー式噴火。降灰により家屋被害、農作物や森林被害。また火山泥流により被害。

2 昭和58年(1983年)三宅島噴火 昭和58年10月3日 山腹からの溶岩流により住宅の埋没・消失等。

3 昭和61年(1986年)伊豆大島噴火 昭和61年11月15日 山腹からの溶岩流により1ヶ月余りの全島避難。

4 平成3年(1991年)雲仙岳噴火 平成3年6月3日 火砕流や火山泥流により大きな被害。

5 平成12年(2000年)有珠山噴火 平成12年3月31日 マグマ水蒸気噴火や地殻変動により家屋・道路等被害。

6 平成12年三宅島噴火 平成12年8月 マグマ水蒸気噴火。噴石が山麓まで、火砕流が海岸まで達し、多量の火山ガスが発生。4年半余りの全島避難。

7 平成26年御嶽山噴火 平成26年9月27日 水蒸気噴火により大きな被害。

8 平成27年口永良部島噴火 平成27年5月29日 爆発的噴火。火砕流が海岸まで到達。6か月余りの全島避難。

à suivre

今を考えるため情報源を文字として残したい。 そしてまた後日、それを読み返してみたい。 自分自身で考えることをやめないように。