受信料制度に関する論点(素案)
総務省ホームページより
①現行の受信料制度の課題
現状
○ 受信契約は2018年度には4,169万件(衛星契約2,260万件)に達し、受信料の支払率は2008年には70%であったところ、近年改善傾向にあり、2018年には82%となっている。
○ 新型コロナウイルスの感染拡大により訪問活動を停止したことにより新規契約数に影響が出ており、今後の収入にも影響が出るおそれがある。
○ 2018年度には、営業経費として773億円を支出しており、うち425億円は未契約者対応等に要している。受信料収入に占める営業経費の割合(営業経費率)は、高止まりしており、2018年には10.8%となっている。
○ 衛星契約数は2008年度には1,387万件であったところ、2018年には2,162万件と増加している。また、地上契約が月額1,260円であるのに対し、衛星契約は月額2,230円となっている。
○ 衛星放送については、衛星放送を受信し得る共有アンテナを備えた集合住宅への入居などの住環境の変化により、受信設備の一部(アンテナ等)の設置に関与していないにも関わらず衛星契約の対象となってしまう問題が指摘されている。(いわゆる「受動受信」)
課題
○ 受信料支払率は近年改善傾向にあるものの、現状では80%強にとどまっている上、当面、新型コロナウイルス対応のための訪問営業抑制により新規契約数への影響が見込まれるなど、依然として未払者が一定割合いる状況が続く可能性があり、現に受信料を支払っている者にとっては不公平となっているのではないか。
○ 現行の受信料制度の下、訪問等により転居の有無や受信設備の設置等を確認し受信契約を締結する必要があることが、営業経費の高止まりにつながっているのではないか。
○ 衛星契約数が増加しつつある一方で、受信料額が地上契約と比べて依然75%程度高くなったままとなっていることも、負担感につながっているのではないか。
②通信・放送融合時代に向けた受信料制度の今後の課題
現状
○ テレビ世帯保有率は、2008年から2018年の10年間で98.9%から95.1%へ減少。特に29歳以下のテレビ世帯保有率は85%~90%程度まで減少。また、各メディアの平均利用時間調査において、10代・20代では、1日で3割超がテレビ視聴しておらず、平日のインターネット利用時間がテレビ視聴時間を上回っている。
○ NHKは、総合テレビ及びEテレの放送番組の同時配信及び見逃し番組を携帯電話やパソコンなどの端末を通じて提供する「NHKプラス」の提供を開始しているが、同サービスは受信設備を設置した者を対象として提供されており、受信設備を設置していない者については、同時配信では画面上に受信契約を確認するメッセージが表示され、見逃し番組配信は利用できないこととなっている。
○ また、NHKは、有料のインターネット配信業務(NHKオンデマンド)も提供している。
課題
○ テレビ保有世帯は減少傾向にあり、特に若者世代で低く、テレビ視聴時間よりインターネット利用時間が上回っていることから、いわゆる「テレビ離れ」が今後更に進むことが予想される中、現在の同時配信等サービスは、受信設備を設置した者のみを対象としているため、「テレビ離れ」に対する対応としては限界があることから、受信設備を設置していない者への提供も含めて検討することが必要ではないか。その場合には、受信料制度との関係についても整理が必要ではないか。
(参考)テレビ保有率の低下
○ 若年層を中心に、テレビ保有率は低下傾向。世帯主が29歳以下の場合は88.4%である
○ 単身世帯については、59歳以下の保有率が9割を切っている
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