印紙不足となった日雇特例健康保険の被保険者に対する救済措置に関する質問主意書

衆議院ホームページ 質問主意書より


提出者  初鹿明博

印紙不足となった日雇特例健康保険の被保険者に対する救済措置に関する質問主意書

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び政府による緊急事態宣言の発令により、雇用環境が急速に悪化しております。緊急事態宣言は解除されましたが、直ちに新型コロナウイルス感染症発生前の生活に戻ることは難しく、経済不況は長期化するものと考えます。

 このような状況の中で、日々雇用されて働いている日雇労働者の仕事も激減しており、回復まで時間を要するものと思われます。

 日雇特例健康保険者は、初めて療養の給付を受ける日の属する月の前二月間に通算して二十六枚又は前六月間に通算して七十八枚の健康保険印紙を必要としており、日雇で働く労働者の中で、印紙の枚数が不足してしまう者は保険診療が受けられなくなってしまいます。仕事に従事しないと印紙を入手出来ないため、新型コロナウイルス感染症の影響で仕事が激減する中で印紙不足となってしまう被保険者が発生しています。国民皆保険制度を採っている我が国において健康保険は生きる上で最低限必要なセーフティネットのひとつです。収入が激減しても安心して医療機関を受診出来る状態でいることは非常に重要だと考えます。

 被保険者やその家族の生命を守ることを第一とする観点から、新型コロナウイルス感染症の影響が続いている当面の間は、印紙不足でも保険診療を受けられるようにすべきだと考えます。

 以下、政府に質問します。

一 印紙が不足している枚数分の保険料を事後に追加で納付することで、受給資格を満たすこととする特例措置を設けるなど、保険診療を受けられるようにする方策を設ける必要があると考えますが、いかがでしょうか。

二 そもそも、仕事をした日数により保険診療を受けられたり、受けられなかったりするのでは安心して生活が出来ません。また、保険適用にならない間、国民健康保険に加入することも可能ではありますが、日雇特例健康保険から脱退、国民健康保険に加入、国民健康保険から脱退、日雇特例健康保険に再加入を繰り返すことは事務負担を考えても現実的ではなく、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束し、経済状況が改善し、平時に戻ったとしても、印紙の有無によらずに日雇特例健康保険の給付を受けられるようにすることは必要だと考えます。政府の所見を伺います。


答弁書

一及び二について

 健康保険制度において、適用事業所に使用される日雇労働者は、日雇特例被保険者とされ、日雇特例被保険者については、就労時間が短く、就労状態が安定的でないといった特性を考慮し、事業主は日雇特例被保険者を使用する日ごとに保険料を納付することとし、日雇特例被保険者が保険給付を受けるためには、保険給付を受ける日の属する月の前二月間に通算して二十六日以上又は当該日の属する月の前六月間に通算して七十八日以上の保険料が納付されていることを要件とし、保険料の納付状況を健康保険印紙の枚数により確認する仕組みとしている。こうした制度の趣旨を踏まえると、御指摘の「印紙が不足している枚数分の保険料を事後に追加で納付することで、受給資格を満たすこととする」ことや、「印紙の有無によらずに日雇特例健康保険の給付を受けられるようにすること」については、適用事業所に使用された日数に照らして日雇特例被保険者として保険給付を受けることが認められる程度の使用の実態がない者に保険給付を行うこととなり、適当でないと考えている。

 その上で、日雇特例被保険者については、その就労の特性を考慮して、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百二十九条第一項及び第二項の規定に基づき、日雇特例被保険者として療養の給付を受けた疾病等について、当該疾病等に係る療養の給付、特別療養費の支給又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による居宅介護サービス費等の支給の開始の日から一年の間、受給資格を満たさない月においても、療養の給付を受けることができること等とされているほか、適用事業所に使用されなくなったときや、引き続く二月間に通算して二十六日以上使用される見込みのないことが明らかなときは、国民健康保険の被保険者となることにより、療養の給付等を受けることができる。

à suivre

今を考えるため情報源を文字として残したい。 そしてまた後日、それを読み返してみたい。 自分自身で考えることをやめないように。