令和2(2020)年度 内閣府年央試算
内閣府ホームページより
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、「令和2年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(令和2年1月 20 日閣議決定)で想定していた成長経路を大幅に下回っている。特に、4月から5月にかけては、感染症拡大防止のため、緊急事態宣言の下で経済活動を抑制してきたことから、極めて厳しい状況となった。
5月下旬の緊急事態宣言解除以降、段階的に経済活動が再開されるなか、個人消費は、このところ持ち直しており、輸出は、感染症の影響は残るものの、下げ止まりつつある。このように、我が国経済は、依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きがみられる。
今後については、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていくなかで、各種政策の効果もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。
本年央試算は、「ウィズコロナ」を前提として、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りながら、政策の総動員によって、社会変革が進み、国民の意識や行動の変化により、「新たな日常」を通じた「質」の高い経済社会の実現に近づいていく姿を示している。
具体的には、個人消費は、感染拡大防止を図りながら、「新たな日常」に対応した新たな財やサービスが定着していくなかで、各種政策の効果に支えられて相応の消費活動が行われ、本年4月、5月を底に回復していくと見込んでいる。また、設備投資は、デジタルトランスフォーメーションの推進や非対面型ビジネスモデルへの転換が図られるなかで、研究開発投資やデジタル投資が増加し、来年に向けて回復すると見込んでいる。こうしたなかで、我が国経済の水準(GDP)は、感染症が拡大する前の水準を早期に取り戻していく。
こうした姿を実現するため、政府は、「経済財政運営と改革の基本方針 2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(令和2年7月 17 日閣議決定)に掲げられた「新たな日常」を実現していくための各種施策を推進していく。また、引き続き、令和2年度第1次補正予算を含む「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月 20 日閣議決定)及び令和2年度第2次補正予算を速やかに実行する。
こうした下で、GDP成長率については、2020 年度は実質で▲4.5%程度、名目で▲4.1%程度、2021 年度(2021 年度の試算値については、当該年度のマクロ経済を考えるための参考として機械的に算出している。)は実質で 3.4%程度、名目で 3.5%程度と見込まれる。
なお、2020 年秋に海外で感染症の大規模な第二波が生じるという国際機関(OECD、世界銀行)のシナリオを基に実質GDP成長率を試算すると、2020 年度は▲5.0%程度、2021 年度は 3.0%程度と見込まれる。
※ 2019 年 10 月に実施された消費税率引上げによる 2020 年度の物価上昇率への影響を機械的に試算すると、消費者物価(総合)では 0.5%ポイント程度、GDPデフレーターでは 0.4%ポイント程度と見込まれる。また、教育無償化による 2020 年度の消費者物価(総合)への影響を試算すると、幼児教育・保育無償化は▲0.3%ポイント程度、高等教育無償化は▲0.1%ポイント程度と見込まれる。
内閣府年央試算に関する付注
試算に当たり、以下の前提を置いた。なお、これらの前提は、作業のための想定であって、内閣府としての予測あるいは見通しを示すものではない。
世界GDP(日本を除く。)の実質成長率(%)
(政府経済見通し)2.9 (今回試算)▲4.9 2021 年度(参考試算) 6.4
円相場(円/ドル)
108.9 107.6 107.6
原油輸入価格(ドル/バレル)
65.6 43.1 45.8
(備考)
① 世界GDP(日本を除く。)の実質成長率は、国際機関による我が国の主要輸出相手国についての経済見通しを基に算出。2020 年秋に海外で感染症の大規模な第二波が生じるという国際機関(OECD、世界銀行)のシナリオのもとでは、世界 GDP(日本を除く。)の実質成長率は、2020 年度▲6.9%程度、2021 年度 5.9%程度と想定。
② 円相場は、2020 年 6 月 1 日~6 月 30 日の期間の平均値(107.6 円/ドル)で同年 7月以降一定と想定。
③ 原油輸入価格は、2020 年 6 月 1 日~6 月 30 日の期間のドバイ・スポット価格の平均値に運賃、保険料を付加した値(45.8 ドル/バレル)で同年 7 月以降一定と想定。
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