コロナ後の日本の未来と希望を考える会~気候危機を乗り越え、新しい自然共生を目指す~(五箇勉強会)を行いました。
環境省ホームページより
第1回 コロナ後の日本の未来と希望を考える会~気候危機を乗り越え、新しい自然共生を目指す~
議事要旨
<概 要>
日 時 :令和2年7月3日(金) 13:00~14:50
方 式 :Web 会議
出席者 : 石井菜穂子(地球環境ファシリティ CEO)
落合陽一(筑波大学 准教授)
五箇公一(国立環境研究所 室長)(進行役)
千葉知世(大阪府立大学 准教授)
二宮雅也(経団連自然保護協議会 会長)
細谷雄一(慶應義塾大学 教授)
キャシー松井(ゴールドマンサックス証券株式会社 副会長)
山極寿一(京都大学 総長)
環境省 :小泉進次郎 環境大臣
<論 点1 コロナ禍で見えてきたこと>
人が移動し出会うことにより経済が回っていたことが浮き彫りになる。他方で分断されたことで熟成されるものもある。
将来の社会格差の拡大要因として、通信インフラの整備状況が重要な要素になる。また、リモートでの円滑なコミュニケーションには、事前に人と人との信頼関係の構築が必要であり、信頼関係の有無がその後の人的ネットワークの発展における制限要因となる。
テレワークなどの新しい働き方の可能性が拡大する一方で、子育て中の人は在宅勤務と子育てで負担が増加した。女性活躍の観点からも、デジタルを怖がらず、頭を切り換えて活用すべき。
危機を管理し、危機に対してレジリエントな国家・地域・企業に投資されることが浮き彫りとなり、その観点から SDGs(持続可能な開発目標)、ESG 投資(環境・社会・ガバナンス要素も考慮した投資)、非財務情報の発信の重要性が再確認された。誰一人取り残さないこと、女性の活躍の必要も認識した。
例えば家庭内では自由にマスクを着脱できるように、家族がソーシャルディスタンスとは異なる理屈で動いていることで、人間社会にとっての家族の重要性が示唆されたのではないか。
<論 点 2 リスク管理のあり方、今後の方向性>
コロナの影響で顕在化しているものは一部であり、中・長期的影響(5 年後、10 年後)を視野に入れる必要がある。
原生的自然の近くで暮らす人々は自然に対して慎重。我々は自然から離れてその感覚が鈍ってしまった。自然界には人に悪さをするもの、良いものもあり、自然とのつきあい方の再考・自然の持つリスクへの理解が必要。
新型コロナは無症状の感染者が多い一方、一部の発症者は重症化する特徴を持つ。これまでの感染症とは異なる特徴に対して科学者はインフルエンザのような既成概念に囚われ過ぎたのではないか。科学者の責任は大きく、科学者に耳を傾ける必要性も大きい。
コロナ禍は都会への過度の集中やグローバリゼーションの脆さを認識するきっかけとなったが、グローバリゼーションと資本主義の考え方は必要。これらを過度に敵視した場合の弊害に注意するとともに、国際的軋轢の激化に警戒する必要がある。
危機対応においては、社会に余裕があることが必要。生物の世界でも、仕事量や個体数に余裕があって環境変化に対応できる種が生き残る。生物の原点である種の存続を念頭に、次世代のことを考えるべき。時間や心にゆとりのあった時代、伝統的な日本社会のあり方の再評価も必要。
環境を無視した国が勝ち組になる手助けをしていないか? 環境を国民・全世界の人に響く政治アジェンダにすべき。この先 10 年間を「実行のための 10 年」とするべき。
地域の考え方をグローバルに活かすシンク・ローカル、アクト・グローバルが必要。地域通貨に可能性がある。
<論 点 3 環境保全や自然共生が浸透しなかった理由>
人間本来の欲求は短期的かつ独善的なもので、長期的な利益を生む視点となじまない。今後は欲求・欲望を公共善へとつなげていく仕組みが必要。
人々が環境問題や生物多様性の理解を進めるための見える化、つまり、経済指標などと比較するため、環境価値を数値化することが必要。他方で、数値化は現場で環境保全に取り組む人々や、自然とともに暮らす人々の思いや価値観とは乖離することがあり、両者のコンテクストを理解するつなぎ役が必要。
環境省は生物多様性のストーリー作りに失敗しており、発信の改善が必要。生物多様性や SDGsなど、外国から輸入された言葉を日本語で咀嚼し理解を図る必要がある。逆に、SATOYAMA イニシアティブに含まれる概念は、世界に発信できるものがある。
情報の入手から行動までには様々な段階があり、途中で滞らないためには環境の行動のロールモデルが必要。環境保護にファッション性を持たせる、環境教育の強化等も重要。
環境対経済という対立軸ではなく、環境の経済的価値の主流化が重要。多様なステークホルダーが関わって価値を考え、また、マルチステークホルダーのコア・リーダーを見つけて育てる必要。
行政は計画主義に過ぎるのではないか。順応的に対応できる仕組みが必要。更に、環境の議論の再設計も必要。
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