地方公共団体の財源不足対策に関する質問主意書

衆議院ホームページ 質問主意書より


提出者  緑川貴士

地方公共団体の財源不足対策に関する質問主意書

 令和二年度当初予算の地方税収は四十三兆円を見込んでいたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、企業業績の悪化に伴う地方法人二税の減収やインバウンド消費の落ち込みにより、地方税の減収は避けられず、各都道府県の財政調整基金は令和二年五月末時点で、全体で約七割が取り崩され、基金が底をついた県もある。以下質問する。

一 地方公共団体は、休業協力金の給付や家賃補助、今後の備えとしての検査・医療体制の強化などにより支出が膨らんでいる。第二次補正予算において地方創生臨時交付金などが増額されているが、それでも地方全体で税の特例の軽減・猶予は七兆円にも及び、税収減や支出増の穴を完全に埋めるものではない。また政府は、地方債の運用を弾力化する方針をとり、従来の十年債に加え、返済期間の短い一年債を認めるなど、各地方公共団体の機動的な資金調達を支援するとしているが、地域の経済活動の停滞に伴う継続的な対策に必要な財源として、地方債の起債を重ねていくことになればバランスシートが傷み、今後、地方財政のさらなる硬直化を招くおそれがあると考えるが、政府の見解を伺う。

二 地方債の起債により、借金の返済が今後さらに増大していくこと、つまり、地方公共団体の歳出のうちの「義務的経費」が増大していくことは、結果として、自治体が地域の実情に即して実行できる政策を狭めることにつながる。住民が受けられる行政サービスの質が下がることで、人口減少や少子化に拍車がかかる懸念があり、自治体間の格差が広がることを防ぐための対策について伺う。


答弁書

一について

 「地方財政のさらなる硬直化を招くおそれがある」との御指摘については、地方税法等の一部を改正する法律(令和二年法律第二十六号。以下「改正法」という。)第三条の規定による改正後の地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第三十三条の五の十二に規定する地方債(以下「猶予特例債」という。)の創設、地方議会の議決後速やかに地方債を発行可能とする手続の弾力化等は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、地方公共団体の今年度の資金繰りを支援するためのものであることから、地方財政の硬直化を招くとは考えていない。

 なお、御指摘の「税の特例の軽減」については、改正法第二条の規定による改正後の地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則第六十三条第一項及び第六十四条の規定による課税標準の特例による固定資産税及び都市計画税の減収を、同法附則第六十五条第一項に規定する新型コロナウイルス感染症対策地方税減収補填特別交付金により補填することとしているため、地方債の増加にはつながらない。また、猶予特例債については、今年度及び令和三年度に限り、改正法第一条の規定による改正後の地方税法附則第五十九条第一項の規定又は改正法第二条の規定による改正後の同項の規定により徴収金の全部又は一部の徴収を猶予すること等に伴う減収額を埋めるため起こすことができるものであり、償還財源が確保されているものであることから、基本的に財政指標の悪化にはつながらないと考えている。

二について

 お尋ねの「自治体間の格差が広がることを防ぐための対策」の趣旨が必ずしも明らかではないが、毎年度、地方財政計画に公債費や社会保障関係費等の歳出総額の見込額を適切に計上し必要な一般財源総額を確保した上で、地方交付税により、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し各地方公共団体が一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障しているところである。

à suivre

今を考えるため情報源を文字として残したい。 そしてまた後日、それを読み返してみたい。 自分自身で考えることをやめないように。