地方公共団体に対する計画等の策定の義務付けに関する再質問主意書
参議院ホームページ 質問主意書より
吉川 沙織
地方公共団体に対する計画等の策定の義務付けに関する再質問主意書
私が提出した「地方公共団体に対する計画等の策定の義務付けに関する質問主意書」(第二百一回国会質問第一三一号。以下「前回主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質二〇一第一三一号。以下「前回答弁書」という。)を踏まえ、改めて質問する。
一 前回主意書の一の2において、計画等の策定に関する規定を有する法律が増加しており、当該法律における計画等の策定を努力義務とする規定の割合が増加傾向にあるとの地方公共団体の指摘に対する政府の見解を問うたが、前回答弁書の「一について」では明確な答弁がなかった。改めて問うので、政府の見解を明らかにされたい。
二 前回答弁書の「一について」では、計画等の策定を義務付ける規定等の件数等の把握について、今後検討する旨答弁している。当該把握に当たっては、当該規定等を設けた法改正が閣法か議員立法かについても併せて調査するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 前回答弁書の「二について」では、「お尋ねの「実態」については網羅的には把握していない。」と答弁しているが、これは、一部については把握している趣旨であると理解される。「実態」を一部であっても把握しているのであれば、前回主意書の二で指摘したように、いわゆる提案募集方式に基づく地方からの提案等を待つまでもなく、政府が把握している一部の「実態」に対して、政府が自ら積極的に法制上及び運用上の対応をとるべきではないか。政府の見解を明らかにされたい。
四 前回主意書の三の1において、地方分権改革推進委員会の第三次勧告にいう「義務付け・枠付けに関する原則」が地方分権改革推進計画に明記されなかった理由を問うたところ、前回答弁書の「三について」では明確な答弁がなかった。改めて問うので、政府の見解を明らかにされたい。
五 前回答弁書の「三について」では、地域主権戦略大綱において第三次勧告の趣旨を踏まえた義務付け・枠付けの見直しをする旨明記していると答弁しているが、前回主意書の三の2で問うているのは、「義務付け・枠付けに関する原則」を閣議決定又は法律上明確にすることを検討したことがあればその内容、検討したことがない場合や検討したことはあるが実現しなかった場合にはその理由である。改めて問うので、政府の見解を明らかにされたい。
六 前回答弁書の「四の3について」では、「義務付け・枠付けに係る国の立法に関する原則」及び「義務付け・枠付けの存置を許容する場合等のメルクマール」に抵触する閣法が国会に提出される場合がありうることが明らかにされた。当該原則及びメルクマールに抵触する閣法を国会に提出することは、当該原則及びメルクマールを定立した趣旨に照らして妥当であるのか、政府の見解を明らかにされたい。
七 前回答弁書の「五について」では、質問は議員立法に関する事項であるとして何も答えていないが、前回主意書の五で問うているのは、「義務付け・枠付けに関する立法の原則」を法律上明確にする必要性に係る政府の見解である。改めて問うので、政府の見解を明らかにされたい。
八 前回答弁書の「六の1について」では、事前情報提供制度における「地方公共団体に対し新たな事務又は負担を義務付けると認められる施策」について、「施策を行うかどうかは地方公共団体の裁量によるが、当該施策を行う場合に事務又は負担の義務付けがあるものも含まれるものと解している」と答弁している。近年、地方公共団体から前回主意書の一及び二の指摘がなされていることを踏まえ、同解釈を各府省に周知する必要があるのではないか。政府の見解を明らかにされたい。
九 前回答弁書の「六の2の前段及び3について」及び「六の2の後段について」では、地方自治法第二百六十三条の三第五項の事前情報提供制度に基づく情報提供について、総務省が各府省に通知を発出し、各大臣が提供時期を判断しているが、情報提供の状況を内閣府又は総務省が常時把握する仕組みとはなっていない旨答弁している。地方分権改革を推進する観点からは、同制度に基づく情報提供の時期、方法及び内容が適切なものとなっているか、地方六団体への照会も含め内閣府又は総務省が定期的に調査し、その結果を公表するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
答弁書
一及び二について
先の答弁書(令和二年六月五日内閣参質二〇一第一三一号。以下「前回答弁書」という。)一についてでお答えしたとおり、「計画等の策定を義務付ける規定」、「計画等の策定を「できる」とする規定」及び「計画等の策定を努力義務とする規定」の件数等については把握していない。したがって、御指摘の「計画等の策定に関する規定を有する法律が増加しており、当該法律における計画等の策定を努力義務とする規定の割合が増加傾向にある」か否かについても把握していないが、今後、地方公共団体による計画等の策定の義務付けに係る法律の規定の件数等について、件数の推移及び立法の経緯も含めて把握してまいりたい。
三について
御指摘の「実態」については、「提案募集方式」により地方公共団体等から提案があったものに関して個別具体的に把握しており、当該提案の実現に向けた検討を行っている。今後とも「提案募集方式」の充実等を通じて対応してまいりたい。
四について
御指摘の「義務付け・枠付けに関する原則」については、既存の法律との整合性を確保する必要から、当該原則を法律上明確にすることを将来的な検討課題とし、「地方分権改革推進計画」(平成二十一年十二月十五日閣議決定)に明記しなかったものと認識している。
五について
前回答弁書三についてでお答えしたとおりであって、地方分権改革推進委員会第三次勧告(平成二十一年十月七日)に記載している御指摘の「義務付け・枠付けに関する原則」等を踏まえて、「地域主権推進大綱」(平成二十四年十一月三十日閣議決定)において、「法律又は政令により自治事務について事務の処理又はその方法の義務付け・枠付けを定める場合には、累次の勧告等に基づき、・・・必要最小限のものとする。この場合において、当該事務の処理又はその方法の義務付け・枠付けに関し基準を定めるときは、累次の勧告等に基づき、可能な限り、法律又はこれに基づく政令で定めるところにより、条例で当該基準を変更することができるようにするものとする」と明記している。
六について
内閣提出法律案については、御指摘の「義務付け・枠付けに係る国の立法に関する原則」及び「義務付け・枠付けの存置を許容する場合等のメルクマール」を最大限尊重して検討を行った上で閣議決定し、国会に提出しており、これらの重要性を踏まえつつ、義務付け・枠付け(法令による地方公共団体に対する事務の処理又はその方法の義務付けをいう。)が必要最小限となるよう今後とも努めてまいりたい。
七について
先の質問主意書(令和二年五月二十六日提出質問第一三一号)五におけるお尋ねは、議員立法に関する事項であり、政府としてお答えすることは差し控えたい。
なお、六についてでお答えしたとおり、内閣提出法律案については、御指摘の「義務付け・枠付けに係る国の立法に関する原則」及び「義務付け・枠付けの存置を許容する場合等のメルクマール」を最大限尊重して検討を行った上で閣議決定し、国会に提出しているところである。
八について
御指摘の「同解釈を各府省に周知する」ことについては、前回答弁書六の2の後段についてでお答えした「地方自治法第二百六十三条の三第五項の連合組織に対する情報提供制度の適切な運用について」(平成二十年十月三十一日付け総行行第百四十八号総務省自治行政局長通知)に加え、法令の協議等を通じて各府省への周知を図っているところであるが、地方六団体から、前回答弁書二についてでお答えしたとおりの認識が示されたことも考慮し、総務省において、各府省に対し、「地方自治法第二百六十三条の三第五項の規定に基づく事前情報提供制度の適切な運用について」(令和二年六月十九日付け総行行第百五十三号総務省自治行政局行政課長通知)を発出し、改めてその周知を図ったところである。
九について
御指摘の地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百六十三条の三第五項の規定に基づく「情報提供」の「時期、方法及び内容」等については、施策の性質により適切な「時期、方法及び内容」が一定でないことが想定されることから、各大臣において適切に判断されるべきものであり、御指摘のような「同制度に基づく情報提供の時期、方法及び内容が適切なものとなっているか」を内閣府及び総務省において「調査」することは考えていない。
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